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【陳情兼協議依頼提出】年300万円までなら議員の会社は自由に請け負っていいのか?

地方自治法第92条の2と五島市の工事契約を考える

兼業禁止規定の改正

今日取り上げる問題は、私以外の市民も問題視されています!

「年300万円までなら議員の会社は自由に請け負っていいのか?」

地方自治法第92条の2と五島市の工事契約を考える

いま、五島市では、
「議員の配偶者(1親等)が代表を務める会社」が市の工事を受注している問題をめぐって、議論を突きつけました。
五島市監査委員への住民監査請求提出→我々が審査する立場で無いから議会へ言え!

私が問題視したのが、地方自治法第92条の2という条文です。

  • 「議員は自分の会社で市の仕事を取ってはいけない」
  • 「ただし、年300万円までは例外的に認める」

というルールだ。と、ざっくり説明されることが多い条文です。

それなら、「じゃあ300万円までは遠慮なく受注していいってこと?」
そう思ってしまう人もいるかもしれません。

しかし、私は今回の五島市のケースは、この92条の2の趣旨と文言に照らして、違反状態にあると評価せざるを得ないと考えています。
その理由を、市民の皆さんにもわかりやすく整理してみたいと思います。


1.地方自治法第92条の2って、そもそも何のためのルール?

法律の条文は難しく書かれていますが、92条の2の骨格はシンプルです。

「議員と自治体のあいだで、お金の流れがべったりになると、公正さが疑われる。
だから原則は禁止。
ただし、ごく小さな金額についてだけ、例外的に認める」

という考え方です。
もう少し砕いて言うと:

  • 原則:禁止
    • 議員が、自分の会社(または自分が中心になっている会社)で、自分が所属する自治体の工事や業務の請負をするのはダメ。
  • 例外:厳しい条件付きで、年300万円以内なら認める
    • どうしても地元の事情として避けづらい、小額の取引についてだけ、条件を満たしていれば「上限300万円まで」を特別に認める。

つまり、92条の2はもともと、

「議員と自治体との商売は危ないから、がっちり制限しよう」

という“ブレーキのルール”であり、
令和5年の改正は、そのブレーキをほんの少しだけ緩めたに過ぎません。
決して、

「年300万円までは、どんどん請け負っても構いませんよ」

という“アクセル”の条文ではないはずです。


2.五島市で何が起きているのか

今回、問題に取り上げた入札工事は、次のようなものです。

  • 工事名:岐宿運動場フェンス改修工事
  • 契約相手:議員の配偶者(1親等)が代表を務める会社(谷建組)
  • 契約額:税抜3,084,000円(=300万円を超える金額)
  • 契約日:令和7年12月9日

この会社の代表は、現職市議会議員の配偶者(1親等)です。
つまり、

「議員の家族が代表を務める会社」が、
「議員本人が所属する自治体」から、
「300万円を超える工事」を受注している

という構図になっています。
ところが市側や議会事務局の説明では、

  • 「地方自治法第92条の2の改正で、年300万円までは請負が可能になった」
  • 「宣誓書や辞退届の有無にかかわらず、請負そのものは可能な状況」

といった趣旨の回答がなされたのです。

ここに、私は大きなズレを感じています。


3.「原則禁止+厳しい例外」なのに、「300万までは自由」と読んでいないか

92条の2の発想は、本来こうです。

  1. 議員と自治体のあいだでお金のやりとりが大きくなるほど、「仲間内の取引」「癒着」が疑われやすくなる
  2. だから、まずは原則として禁止する
  3. とはいえ、現実にはどうしても断ち切れない地元の関係もある
    → そこで、ごく小さな金額(年300万円以内)だけ例外的に認める

つまり、300万円という数字は、

「ここまでは完全に自由にやっていいライン」

ではなく、

「やむを得ない場合にだけ、これ以上は絶対に超えてはいけない上限」

として置かれたものに近いはずです。

ところが、五島市や五島市議会の説明は、

  • 原則禁止の部分はほとんど触れられず
  • 例外部分だけを切り取って
    「改正で300万円までは請負可能になった」と強調する

という形になっています。
その上、今回の工事はそもそも税抜3,084,000円であり、300万円の上限を超えています。
例外ラインを超えているにもかかわらず、

「改正で300万円まではOKになった」→「だから問題ない」

という説明に使われているとすれば、
これは条文の趣旨を逆さまに読んでいるとしか言いようがありません。


4.「家族の会社ならセーフ」なのか?――そこも大きな論点

もうひとつ、よく持ち出されるのが、

「92条の2はあくまで議員本人の兼業・請負を禁じたものであって、配偶者の会社までは直接規制していない」

という説明です。
確かに、条文の形式だけを見れば「議員本人」が主語になっています。
しかし、ここで考えなければならないのは条文の目的です。

  • なぜ、議員と自治体との請負を制限するのか?
    → 議員という立場が、発注や予算に影響力を持つからです。
  • では、議員本人ではなく配偶者の会社であれば、本当にリスクはゼロと言えるのか?
    → 常識的に考えて、そうは言えないでしょう。

市民感覚からすれば、

「議員本人の会社で受注してもダメ。
じゃあ奥さん(旦那さん)の会社で受注すればOKです」

と言われても、到底納得できません。
92条の2の精神は、
「議員と自治体のあいだに、濃い利害関係を作らない」ことにあるはずです。
その観点から見ると、

  • 議員本人の会社
  • 議員の配偶者(1親等)の会社
  • 議員の1親等の親族の会社

どれも本質的なリスクは同じ方向にあります。

だからこそ、五島市の政治倫理条例第5条は、
配偶者(1親等)や親族、議員が出資・経営・報酬関係にある企業について、「市への請負を辞退するよう努める」と定めているわけです。


5.今回のケースを、92条の2の目で見るとどうなるか

あらためて、今回の事案を92条の2の目で整理します。

  1. 金額の面から
    • 契約額は税抜3,084,000円
      → 「年300万円以内」という例外上限を明確に超えている
  2. 関係性の面から
    • 受注した会社の代表は現職議員の配偶者(1親等)
      → 実質的には「議員と自治体のあいだの請負関係」と見なされても不思議ではない
  3. 趣旨(目的)の面から
    • 条文の目的は、議員と自治体との経済的な癒着を防ぐこと
      → 配偶者(1親等)の会社で300万円超の工事を受注するのは、この目的から見て最も警戒すべきパターンの一つ

こうした事情を総合すると、私は市民の一人として、

「この契約は、地方自治法第92条の2の趣旨と文言に照らして、
違反状態にあると評価せざるを得ない」

と考えています。
もちろん、最終的に「法的に違反かどうか」を決める権限があるのは裁判所であり、私がここで「絶対に違反だ」と断定する立場にはありません。
しかし、

  • 金額は300万円を超えている
  • 議員の配偶者(1親等)が代表の会社が受注している
  • それでも「改正で300万円までOKになった」と説明されている

という状況を見たときに、

「これは92条の2の想定から完全に外れているのではないか」
「少なくとも、違反の疑いが極めて濃厚な事案ではないか」

と問題提起することには、十分な理由があると考えています。


6.市民として、何を求めていくのか

この問題は、「一社の契約が高いか安いか」という話にとどまりません。
もっと根っこの部分で、

  • 法律(地方自治法)と条例(政治倫理条例)のヒエラルキー(上下関係)をどう理解するのか
  • 法律がわざわざ「年300万円」という上限を設けた目的を、どう受け止めるのか
  • 議員とその家族の会社が、市の工事を次々に受注することを、
    「市民の目から見て本当に公正だと言えるのか」

という問いが突き付けられています。
私は、今回のケースをきっかけに、

  1. 市として
    • 議員本人・配偶者(1親等)・親族の会社との契約をどう扱うのか92条の2の「年300万円以内」の意味をどう運用するのか
    について、明確な基準を定める必要があると思います。
  2. 議会として
    • 自ら制定した政治倫理条例第5条を、このまま「努力義務だから守らなくていい」とするのかそれとも、92条の2の趣旨も踏まえ、実効性あるルールとして運用し直すのか
    について、真剣な議論を行う責任があると思います。
丸田たかあき
丸田たかあき

私の結論
法(法律)が存在する根本的な理由は、人間が社会の中で互いに尊重し合いながら、安全かつ円滑に生活していくためです。 
もし法がなければ、個々の利害対立が力ずくの争いに発展し、社会全体が混乱に陥る可能性があります。
市民として条文の目的・趣旨を自分たちの言葉で確認し、「おかしいものはおかしい」と言い続けることが求められているのではないでしょうか。

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